苫小牧から夕張へ 2010/09/04
サイクリングで行くのは初めてで、学生時代の就職活動の帰りに鉄道で1回行ったきりなのでほぼ24年ぶりになります。当時から炭鉱の閉鎖等による衰退は顕著で、駅からちょっと歩いただけでも廃屋が目立ってはいたし、清水沢から南大夕張までの路線が廃止される事も決まっていたし、さらには80年代前半の相次ぐ炭鉱事故等、暗い側面を見せていました。その後炭鉱閉鎖の後処理に巨額を費やしたうえ、いくつかの再生の試みが裏目に出て財政破綻したのは知られている通りです。
今回、その夕張でサイクリングイベントがあるとのこと。私の年に1回3泊から4泊程度のツーリングでは夕張はコースには入れにくい。夏は遠征が多く、私も財政破綻気味でしたが、この機会に行ってみようと思いました。
金曜夕方、羽田からの最終便で千歳へ。苫小牧の東横インに宿泊です。南千歳での乗り換えでガラナを飲むと、ああ北海道へ来た、という気分です。
朝、予定よりちょっと寝坊するとすでに無料朝食供与中でした。宿に送ってあった自転車を組み立ててから朝食をいただき、8時半ごろに出発しました。頭がぼーっとしたまま、線路沿いの道をぼんやり走っていると、どうも右側が山っぽい。そこで気づけばよかったのですがさらにぼんやり走っていると糸井駅あたりです・・沼ノ端は通り過ぎたのかな、ウトナイ湖はまだかいな?などとまだらぼけていると錦岡駅。昨年、ブルベで支笏湖から降りてきたのがこのあたりだったような・・・・・間違いに気づきました。今度は素直に国道に出て、苫小牧方面へ戻ることに。。。。10kmほど間違えて走ってしまいました。
再度苫小牧駅近くを通過して苫東工業基地(森に遮られて国道からは見えませんが)を右手に今度こそは大丈夫です^^
安来町早北にある、「木」のサイロがある元牧場。いまはパークゴルフ場になっています。サイロ自体が今はだんだん使われなくなっているそうですね(牧草ロールに取って代わろうとしているとのこと)。
しばらく国道234号沿いに追分まで。追分駅前を通過して適当に道道や農道で三川、由仁、継立で県道3号に入り小さな峠の向こうの夕張へ。
まずは「幸福の黄色いハンカチ」(1977年山田洋次監督の映画)のロケ地へ。高倉健と倍賞千恵子演じる夫婦が暮らした五軒長屋は「想い出ひろば」として公開されています。中はロケで使った車(軟弱若者役の武田鉄也が乗っていたファミリア)や写真、さらには訪問者の「幸せへの願い」が書かれた膨大な数の黄色い絵馬が貼られています。
蛇足ですが、家族も幼少のころはこんな炭鉱住宅に住んでいたそうで、家の作りも同じだったとのこと。みな同じ職場に勤めているわけで長屋暮らしはにぎやかで楽しかったそうです。
それにしても、映画(何度か見ました)では周りにたくさんの住宅がありましたが、今ではこの五軒長屋ともう1軒あるのみです。
ロケ地の受付の方によると、その1軒は数年前まで住んでいたそうですが、今は誰も居ません。受付も男性もつい最近からのようで、昔の様子にはそれほど詳しくない様子でした。
こうして草っぱらを見ていると、映画とここに住んでいた人たちの幸せな想い出がくっきりと蘇るような心持ちになります。いつまでも同じ場所で幸せな生活が続けばいいですが、人間の生活では往々にしてそうはならず、ひとびとは新しい場所にそれを求めて移動していきますね。
こちらは廃線跡が自転車道になっています。さきほどの県道3号沿いにかつては鉄道があって、その跡のようです。
夕張駅を過ぎると中心部。昔懐かしい映画看板が並んでいます。 国際映画祭を開催している映画の町という雰囲気作りのようですが、人が居ないので、今日はちょっとさびしい感じです。
それにしても夕張駅の前にスキー場があったかな?福住の炭住(当時も廃屋ばかり)まで駅からすぐ近くで歩いていった記憶があるので・・・あとで調べてみるといまの駅舎は90年にホテルマウントレースイ前に移転したものとか。私が訪問したときは役所のあたりにあったのでした。また、廃屋も今は撤去されてくさっぱらになっているためか、土地勘はまったく働きませんでした。
気を取り直して?今夜の宿泊であるホテルシューパロ裏の「のんきや」でラーメンを一杯。素朴な味で美味しかったです。女主人は先代(母)の引退で数年前に埼玉から夕張に戻ってきたそうです。老舗の食堂はここともう1軒の蕎麦やくらいとか。(駅前に新しい屋台村と称する食堂街があります)
石炭博物館へ。4時過ぎで「急いで周ってください」とのことでした
石炭の成り立ちから、夕張の採掘の歴史など、なかなか重厚な産業博物館でした。時間が少なかったのが残念です。個人的には小学校の石炭ストーブで使ったコークスが懐かしかったです。
旧坑道の見学もさせてくれます。ひんやりしていますねーここでも急きたてられて500mくらいだったか急いで歩きました。2時間はほしかったかも。
出口です。5時前でしたが私が出ると閉鎖、5時ちょうどに職員は帰宅していました。ちょっと官僚的な感じ。別に詳しく説明してくれなくてもいいので、単に急きたてるばかりでなく、もうちょっと余裕を持って接してくれればと感じました。文句を書きましたが、展示は一見の価値があります。さすが巨費をかけただけのことはありますね(とやっぱり皮肉でおわる)
この町がどうすれば再生できるかは不明です。ですがたとえば有名な夕張メロンは80年代初頭に全国出荷できるようになって売り上げ拡大した(と当時の記憶)はず。空港からも札幌からもアクセスは悪くないし、ここまで落ちぶれなくても・・ちょっとした好循環を作れば打開できるはず、と外部の人間としては感じるのですが。
夕方、駅前のバリー屋台にある、家族経営のお店
でジンギスカン丼をいただきました。明日の参加者も先に夕食を食べていました。様似から来られたとか。毎日自転車通勤で20kgやせたとか。信号などさえぎるものがなくて北海道はLSDに最適ですねー明日は無事に走り終えますように。
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